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基礎の確認:濃度計算に慣れよう

モルや濃度の計算、これは実験をする必ず必要になります。その多くは高校生でも解ける単純なものですが、久しぶりに向き合うとパッと答えられないかもしれません。このページには基本的な計算問題を掲載してあるので頭の体操に利用してみてください。解答はページ下部に示しています。

* M=mol/Lとする。また有効数字は考えない。

5問ぐらいの予定、残りはcoming soon

問1

NaCl(モル質量:58.44)を水に溶かして4M NaClストック溶液 200 mLを作成する。その後、作成したNaClストック溶液を一部希釈して終濃度50 mMのNaCl溶液を1L調整する。

  1. ストック作成時に何gのNaClが必要か
  2. 50 mMのNaCl溶液作成に何mLのストックを希釈するか

問2

10% NaOH水溶液を水で希釈して4% NaOH水溶液 40 mLを作成する。このとき混合する10% NaOH水溶液と水はそれぞれ何mLになるか。

問3

5 mg/mL グルコース水溶液を0.05 mLとって試験管に移し、そこに水を加えて計4 mLの溶液を調整した。この調整した溶液のグルコース濃度を単位"mg/mL"、"mg/L"の両方で示せ。

問4

【電気泳動用ラダーの調整】全量300µLのラダーを調整したい。原液DNAラダー(250ng/µL)を終濃度20ng/µL、x6倍濃度バッファーを終濃度x1倍になるように滅菌水を加えて希釈して調整する。
このとき混和した原液DNAラダー、x6倍濃度バッファー、滅菌水はそれぞれ何µLとなるか

問5

エタノールのモル質量を46.07とする。1 mLの80%エタノール(密度 0.85g/cm^3)に水を加えて100 mLにメスアップした。この溶液のエタノール濃度は何Mか。*小数点第3位まで計算する

解答:問1

1. 46.752 (g)

まず4M、1L(=1000mL)の溶液を作るとしたら必要なNaCl量は58.44(g/mol)*4(mol分)=233.76(g)となる。今回問題より作成するストックは200 mLであるので200/1000(mL)分のNaClで十分である。これらをまとめると
58.44*4*(200/1000)= 46.752(g)

2. 12.5 (mL)

まずストックを何倍希釈したら終濃度になるか考える。ストック:4M(=4000mM)に対して終濃度50mMであるから、4000/50(mM)=80(倍)希釈することになる。つまり作成するNaCl溶液1L(=1000mL)の80分の1がストック溶液であればよいから1000(mL)/80=12.5(mL)となる。まとめると
1000(mL)*(50/4000(倍))= 12.5(mL)

解答:問2

10% NaOH:16 mL、 水:24 mL

まず10%を何倍希釈したら終濃度4%になるかのか考えると10/4(%)=2.5(倍希釈)となる。つまり作成する4% 40mLの2.5分の1がストック溶液であればよいから40(mL)/2.5=16(mL)となる。まとめると
40(mL)*(4/10(倍))= 16(mL)であり、合わせる水は40-16=24(mL)となる。

解答:問3

0.0625(mg/mL)かつ62.5(mg/L)

まず調整した溶液中のグルコース全量を求める。すなわち原液(5mg/mL)の0.5mL分だから5(mg/mL)*0.5(mL)=0.25(mg/total)となる。問題にて最終的な液量(=total)は4 mLであるから、質量/液量=濃度より求める濃度は0.25(total mg)/4(total mL)=0.0625(mg/mL)となる。まとめると
5(mg/mL)*0.5(mL)/4(mL)=0.0625(mg/mL)

また求めた0.0625(mg/mL)から"/mL"を"/L"という1000倍の体積に変換したとき、元の値の1000倍である62.5(mg/L)となる。(*どちらも同じ濃度。単位が違うだけ。)1 mL当たり0.0625gであるのが1000mL分あるとしたら0.0625(mg)*1000=6.25(mg)、これが全量1L中のグルコースだから6.25(mg/L)となる。0/5(mg/mL)*0.05(mL)/(4/1000(L))=62.5(mg/L)でも求めることができる。

解答:問4

原液DNAラダー:24 µL、 x6バッファー:50 µL、 滅菌水:226 µL

まずラダーとバッファーを何倍希釈したら終濃度となるか求める。ラダーは250/20=12.5(倍希釈)、バッファーは6/1=6(倍希釈)する必要がある。すなわち調整する全量300µLにおいて原液DNAラダーが1/12.5とx6バッファーが1/6をしめたらいい。

原液ラダー:300/12.5=24(µL)

x6バッファー:300/6=50(µL)

滅菌水は全量からラダーとバッファーを除いた値になる。すなわち、300-(24+50)=226(µL)

解答:問5

0.148(M)

まず希釈溶液中に何molのエタノールが存在するのか求める。密度 0.85g/cm^3すなわち0.85g/mLであり、1 mL 80% エタノールは0.85(g/mL)*1(mL) = 0.85 gとなる。このときエタノール濃度が80%であるから、エタノールだけの質量は0.85(g)*0.80(%) (g)となる。エタノール質量をモル質量で割って、0.85*0.8(g)/46.07(g)=0.01476...(mol)が分子量となる。希釈したエタノールの全量は100 mLであるから、その濃度は0.01476(mol)/0.1(L)=0.1476(mol)/(L)→0.148(M)となる。これらをまとめると
[(0.85*0.80)/46.07] / 0.1 ≒ 0.148(M)

最終編集2021年3月31日
初回編集2020年12月7日